二人の言い争いが加速して、堪らず間に入ろうと振り向いたその瞬間、ぐらりと足元が揺れて咄嗟に傍にあった食器棚に捕まった。

きゃあっ、と悲鳴をあげてバランスを崩した恵理ちゃんを咄嗟に支えた。嘉正くんもすかさずおばさんに駆け寄ってその背中を支える。

ぐらぐらと床が激しく揺れて家の柱が軋む。がちがちと音を立てる食器が不気味で唇をかみ締めた。


揺れは次第に小さくなって、数十秒もすれば何も無かったかのように静かになった。

無意識に止めていた息を吐き出した。


「大きな地震……震源が近いのかしら」


おばさんが不安げにそう呟いた。

はっと嘉正くんを振り返る。目が合うなり、険しい顔で小さく首を振った。