「────うわっ、灰飛んできた!」

「火ついてねぇんだから灰ぐらいでビビってんじゃねぇよ慶賀」

「お前わざとだな!? 許さんっ」


夕日が傾き始めた頃、私たちは庭でコンロの用意を始めた。

バーベキュー用の炭で遊び始めた慶賀くんと泰紀くん。人ん家で馬鹿やってんじゃないよ!と怒る来光くんに思わずくすくくと笑った。


「恵理ちゃん、巫寿。食材運ぶの手伝ってほしいって、呼んでたよ」


嘉正くんに呼ばれ「はーい」と返事をしながら縁側に上がる。

台所に向かう廊下を歩きながら嘉正くんが口を開いた。


「ふたりが食材の準備をしてくれている間に、もう一度家の中を確認してみたんだけどね」

「ど、どうだった?」

「うん、心当たりはいくつかあるんだけどまだ断定が出来ないんだ」


そう首を振った嘉正くんに、恵理ちゃんは不思議そうな顔をした。


「風邪をひいたのに、胃薬を飲んでも良くはならないでしょ? それと一緒なんだよ。憑き物ってその種類によって対応が変わってくるから、突き止めてからじゃないと太刀打ちできないんだ」


へえ、と恵理ちゃんは興味深そうに頷いた。

三人で台所に入ると、お皿に山盛りになった野菜やお肉が机の上に並べてあった。

恵理ちゃんのお母さんが忙しいそうにパタパタと台所を駆け回っている。