どさどさとテーブルに買い物袋を置いたおばさんは目を丸くして駆け寄るとぎゅっと私の両手を握った。
「恵理から話は聞いていたんだけど、こうして顔が見れてよかった。おばさんもずっと心配してたのよ」
「おばさん……ありがとうございます。色々大変だったけど、今はこのとおり元気です」
そうはにかんで肩をすくめると、おばさんは嬉しそうに何度も頷いた。
話し声を聞き付けた嘉正くんたちが、わらわらと台所へ顔を出す。
「こちらは恵理ちゃんのお母さま?」
嘉正くんの問いかけに目を剥いた恵理ちゃんが私を見る。苦笑いで頷いた。
分かるよその気持ち。
「そ、そう。お母さん、友達の嘉正くんに来光くん、それに慶賀くんと泰紀くん」
「初めまして。大勢でお邪魔して申し訳ありません。直ぐにお暇させてもらいます」
おばさんは「あらまあ」と頬を染めた。
「もう、先に言っといてよ恵理。気の利いたものなんてないわよ。みんな晩ご飯は?」
「みんな夕方には帰るから」
「そうなの? 遠慮しなくていいのよ。みんなさえ良ければ、おばさん張り切ってご馳走振舞っちゃうのに」
やめてよ、と恵理ちゃんが顔を赤くする。
そんなやり取りに、恵理ちゃんが私の家に泊まりに来た時はお兄ちゃんと同じやり取りをしていたなと思い出す。