「でも、恵理ちゃんの言う現象は間違いなく霊や妖が引き起こすものだと思う。もう少し、調べてもいいかな」

「むしろ私からお願いしたいくらいだよ。みんなごめんね、引き続きよろしくお願いします」


任せて、と慶賀くんは胸を叩いた。



それにしてもどういうことだろう?

恵理ちゃんから聞いた現象は間違いなく自然発生するような現象では無い。

霊や妖、目には見えないものが引き起こす類の現象であることは間違い無いはずだ。


けれどこの家にはそれを引き起こすような悪いものを一切感じられない。

むしろ、神棚に宿る神様との結び付きが強く心地よさを感じる。


恵理ちゃんがそんな嘘を言うはずがないし、この家は一体どうなってるの?



ぐるりと部屋を見回していると、とんとんと肩を叩かれる。

振り返ると恵理ちゃんが小さく手を合わせていた。


「みんなに出すお菓子と飲み物、準備するから手伝ってもらっていい?」

「あ、うん。もちろんだよ」



助かる、と笑った恵理ちゃんとふたりで台所へ向かった。