みんなの戦き様を見れば、当時の玉じいがどれほど怖かったのかがよく分かる。
玉じいが本庁を引退したのは空亡戦のあとだから十二年前、ちょうど私たちが三歳の頃だ。物心着く前だと言うのにも関わらず顔を見れば震え上がらせるくらいだ。
禄輪さんと玉じいとすき焼きを食べた時に、玉じいは自分のことを「鬼」と言っていたけれど、それはただの例えではなかったらしい。
「それにしても、ずっと一緒にいたみこに、そんな特別な力があったのが一番の驚きだよ」
「そうだよね。私も最近知ったばかりなんだけど、最初は全然受け入れられなかったよ」
「でも、今はあんな風に、誰かを助けれるだけの力があるんだね。本当にすごいと思う。かっこいいよ、みこ」
恵理ちゃんの言葉が嬉しくて、枕に顔を埋めてはにかんだ。
「ねねっ、学校生活のこととかもっと詳しく教えてよ」
「ふふ、長くなるよ」
「望むところだよ!」
顔の隣でぐっと拳を握った恵理ちゃんにくすくすと笑った。