「どうぞ、そんなに広くないんだけれど……」
かちゃりと鍵を回して玄関の扉を抑える。片手を差し出してみんなを中へ促せば、「お邪魔しまーす!」と興味深げにぞろぞろ中へ入っていった。
「わっ、すげ! 洋風の家だ!」
「それを言うなら洋室でしょ」
「ソファーある! 俺ここ!」
「他人ん家で走るな馬鹿!」
わあわあと騒ぐ皆にくすくすと笑いながら最後に自分も中へはいる。
色とりどりの靴がずらりと並ぶのは随分と久しぶりの事だった。
「ごめんね、みこ。私までお邪魔しちゃって」
下駄の鼻緒を摘んで端に寄せながら恵理ちゃんは申し訳なさそうにそう言った。
「ううん、今は家にひとりだから賑やかだと嬉しいの。それに、お泊まり会するの久しぶりだし」
「だね」
ふふ、と肩をすくめる。
昔は夜通し恋バナをしたり、授業がどうとかあの先生がどうとかくだらない話をしていたけれど、今回は少し訳が違う。