神主さんは社頭へ戻っていき、私たちは約束通り石灯籠を元に戻すべく倒れた火袋や柱を起こし始める。


「優秀な神職だって」


ひひひ、と慶賀くんが噛み締めるようにそういった。


「祟りって意外と簡単に対処できるんだなぁ」

「そうだね。ちゃんと出来てほっとしたよ」

「俺ら空亡の残穢の鳥居も封印できるし祟りも祓えるし、最強じゃん!」


ばか、と嘉正くんが肩を竦めて笑った。

確かにこの数ヶ月で、みんなは見違えるようにいろんなことが出来るようになっている。

私も成長したかもしれないけれど、それもほんの少しだ。みんなの足元にはまだまだ及ばない。


もっと勉強して、力をつけたい。

まずは来週からの夏期補習にしっかり取り組まないと。


「あー、はやく三学期の神社実習始まらないかなぁ」


泰紀くんがそう呟いたその時、カサカサと傍の茂みが揺れてみんながパッと振り返る。


「今の話、何?」


茂みから現れたのは、困惑気味に私たちをみる恵理ちゃんだった。