「何しに来たどうやって入ったお前はこの地を永久に追放されなおかつ見つけ次第拘束し力を封じるようにお達しがあるはずだったが」
「げ、俺の扱いってそんなふうになってたんだね。力封じられるのはちょっと面倒だな」
「質問に答えろ」
芽さんは人のいい笑みを浮かべたまま固まった。その妙な沈黙がとても怖い。
「……今日のところは帰るよ。折角空亡の残穢を取り込ませた妖を校庭に放ったのに。もうそろそろ全部祓われてるかな? ということはアイツも俺に気がついた頃か」
空亡の残念……?
妖を、校庭に放った?
芽さんの言葉が理解出来ず、頭の中で繰り返した。
妖を放った? 神修の校庭に?
でもそんなことをしたら、だって今日は奉納祭で校庭には生徒が沢山────。
「やってくれたな、芽」
第三者の声に皆はバッと振り返った。
これまでに見た事もないほどの険しい表情を浮かべる薫先生がそこに立っていた。
「ありゃりゃ、お早い登場で」
「縛れ」
まるで地の底を這うような怒気に満ちた声だった。
次の瞬間、まるで縄で体を縛られたかのように芽さんは体を硬直させた。