「嘉正、やっと戻ってきたか! お前が休んでる間にめっちゃ授業進んだからな〜。まあ、この俺が教えてやってもいいけど?」
「この俺のノート見せてやってもいいけど?」
慶賀くんと泰紀くんがふふんと得意げに胸を張る。
「うん、大丈夫。暇だったからずっと勉強してたし、三学期の予習までバッチリ。ノートは巫寿と来光から毎日写真で送って貰ってたから問題ないよ」
にっこり笑った嘉正くんに、二人は顔を見合せた。そして「可愛くねぇ!」と舌を出す。
そんなやり取りに、やっと私たちの日常が帰ってきたような気がした。
「それはさておき、みんな本当にありがとう。先輩たちも、ありがとうございます。馬鹿な弟が、ご迷惑をお掛けしました」
ほら、と促された嘉明くんは背中を押されて前に出る。
うるうると瞳に涙を貯めて「ごめんなさい」と頭を下げた。
「とりあえず、嘉明も元気になって良かったな!」
泰紀くんにぐりぐりと頭を撫でられて、不安でいっぱいだった表情が少しだけ晴れる。
「また一緒に遊ぼうな!」
その瞬間、火がついたようにぴゃーっと泣き出して嘉正くんの腰に抱きついた。
確か泰紀くんと慶賀くんに遊びに連れ回されて、トラウマになるような事があったんだっけ……。