「巫寿ー! ごめんな、ごめんなぁッ! ありがとうなぁッ!」
息つくまもなく謝られ感謝され、けれど痛いほどに瑞祥さんの気持ちは伝わってきた。
なんだか自分まで泣きそうになって、目頭が熱くなるのを感じながらその背中を抱きしめる。
「やっぱり私、瑞祥さんの代わりにはなれませんでした。聖仁さんの隣で踊る人は、瑞祥さんでなくちゃダメです」
「そんなことないぞ……ッ! 月兎の舞の映像、富宇先生に見せてもらった。もう私よりも上手い!」
おおお、と泣きじゃくる瑞祥さんに、もう苦笑いしかできない。
「瑞祥、瑞祥。迷惑かけた後輩に謝るのも大事だが、そろそろ相方の相手してやれ」
いいタイミングで亀世さんがべりっと瑞祥さんをはがした。
相方?と目尻をぐしぐし擦る瑞祥さんは立ち上がって振り返る。
ぎゅっと眉間に皺を寄せた聖仁さんが一歩前に出た。
「瑞祥、退院明日じゃなかったの?」
「ん? ああ、入院延長組で"どうしても奉納祭に出たい"って陶護先生に頼み込んだんだ。それで、ついさっきお許しが出てな」
ピースサインを突き出した瑞祥さん。
それでも聖仁さんの表情は固くて、周りにいた私達は困惑する。
「もう、平気なんだね?」
「もうすっかり! 聖仁にも迷惑かけて悪かったな。あと、ありがとな。そうだ! 巫寿みたいに感動の再会を祝して熱い抱擁でも交わすか? なーんて────ッ!?」