「────巫寿! お疲れ!」
反橋の下で待ってくれていたみんなに手を振り返す。慶賀くんたちだけでなく、聖仁さん二年生のみなさんもいた。
「皆、見に来てくれてありがとう……!」
「綺麗だったよ巫寿ちゃん! お兄さんなんて感極まって引くほど泣いてし」
「あはは……」
実は恵衣くんに会う前、ここへ向かっていた途中でお兄ちゃんに会った。会ったというか待ち伏せしていたお兄ちゃんに捕まって、今日が卒業式かと思うほど写真を撮られたのだ。
あまりにもしつこくて、いい加減にして、と振り切って逃げてきた。
「にしても、嘉正や瑞祥たちは残念だったな。明日が退院だったか」
「うん。メッセージで俺だけ学年発表で演舞することにめちゃくちゃ悔しがってたよ」
瑞祥さんらしいな、と小さく笑う。
病状が深刻だった一部の生徒、嘉正くんや瑞生さんは回復に時間がかかって、他の生徒よりも少し長く入院している。
今は経過観察中で、送ったメッセージはすぐに返信が返ってくるようになった。遅れを取り戻そうと必死に勉強しているらしい。