舞台の上に上がれば、真ん中の席で慶賀くんたちが小さく手を振っていた。その後ろにはビデオカメラを構えたお兄ちゃんが満面の笑みでぶんぶんと手を振っている。呆れた顔で禄輪さんがそれを見ていた。

頭を抱えたい気持ちをグッとこらえて姿勢を正し、祭壇に向き直った。


浦安の舞はたくさん練習してきた。曲を聞けば自然と体は動く程に何度も舞ってきた。


あとは一番大事な、心から楽しむことだ。



夏休みに恵理ちゃんの家で神様を祓ってしまって自分たちの未熟さを知った。部活に入り新しい友達が出来て、生徒代表として観月祭で舞を踊って大切なことに気が付けた。沢山苦労して病気の正体を突き止め、応声虫の大群を駆除した。

本当に色々あった二学期、長かったはずなのに振り返るとあっという間に感じる。


今日踊るこの舞は、これまでの事を思い出して助けてくれたみんなへの感謝の気持ちを舞に込めたい。



ゆったりとした曲調が流れ始め、梅の花の刺繍が入った巫女鈴を掲げた。