一番手前の私室へ大股で近づいた鶴吉さんは、鍵のかかった扉の前で膝を着く。

そして迷いもせずに鍵穴へ針金を突っ込んだ。


「なるほど、私室か」

「そゆこと〜、初等部の二年は全員入院してるから、部屋の中は見たい放題っと」



待たずしてシリンダーが回る音がした。

「いっちょあがり」と鶴吉さんが得意げに鼻を鳴らす。

すげぇ、どうやんの!?と慶賀くんと泰紀くんが鶴吉さんに尊敬の目を向けた。尊敬していい特技なのかは微妙だけれど。


開けるよ、と聖仁さんがドアノブを握り、私達は扉の前に立つ。

みんながひとつ頷いた次の瞬間、バン!と勢いよく扉を開けた。



中の作りは私の部屋より若干狭いが作りはほとんど同じだった。

ゾロゾロとみんなで中へ入り部屋の中を見回し物色する。



「特段、変わった所は無さそうだね」

「だな。ってことはここはハズレか、次行くぞ」



ハズレ、と聞いてこっそり安堵した。

流石にいきなり大量のニョロニョロが現れたら多分心臓が持たない。