やがて嘉正くんの声が途絶えると、苦しげに咳き込みながら倒れた男の子が目を開けた。


「兄ちゃん……っ!」


弟がその胸に飛び込めば、お兄ちゃんは状況が理解出来ていないのか苦しげに息をしながら困惑気味に辺りを見回す。


「な、なにが起きたの……?」


真っ白だった頬には赤みが差し、瞳はしっかりと私たちを見上げている。

喉に痛みが残っているようだけれど、言葉もしっかりしている。


ああ、もう大丈夫だ。


嘉正くんは二人の前に膝を着くと拳を握り、ぽこんと彼らの脳天にげんこつを落とした。

そこまで痛くないはずなのに、二人は揃って「いで!」と声を上げると恨みがまげに嘉正くんを見上げる。



「ここの神主さまに、裏の鳥居の傍では遊ぶなって言われてるんじゃないの?」


そう尋ねられ、バツが悪そうに二人はお互いを見た。


「これに懲りたら、もう同じことはしないように。分かった?」


「……はい」と返事をして項垂れた。