「現場の指揮はいつも通り鶴吉に任せる。下手こくなよ」
不敵な笑みを浮かべた亀世さんは握りこぶしを差し出した。
同じようにニヤリと口角を上げて鶴吉さんがその拳に自分の拳を当てた。
「俺を誰だと思ってんだ? 任せろ」
亀世さんは私たちを見回した。
「寄生されないようにマスクはしてけよ。耳の穴は……まぁ何とかして守れ」
「何とかして守れ!?」
素っ頓狂な声を上げた来光くんの背中を、亀世さんがケラケラ笑いながら叩いた。
「亀世パイセンは行かねぇの?」
「ああ。知っての通り私は参謀担当。実行役には向いてない。それに」
それに?と聞き返す。
「蚯蚓みたいなのがうじゃうじゃいるかもしれないんだぞ。気持ち悪くて近付きたくもない」
あ、と皆が声を揃えた。
間を置かずして「ズリィ!!」という批判の声が上がったけれど、「さっさと行け」と半ば強引に調薬室から追い出された。



