「こっちの用意は整ったな。それで亀世、作戦は?」
「ああ、今から話す。みんな集まれ」
皆は亀世さんの周りを囲うようにして立った。
「いいか、むやみやたらに探す必要は無い。探す場所は一箇所でいい。学生寮だ、それも初等部二年の階のな」
学生寮?と聞き返す声が揃った。
亀世さんは大きく頷く。
「応声虫は人から人へは感染らない。そして寄生されたのが神修の学生だけだったということを考えると、発生源は学生しかいない場所────つまり学生寮だ」
なるほど、と目を見開いた。
思い返せば確かに患者は全員が学生で、先生や神職さまは誰も寄生されていなかった。
「でもどうして初等部なんだ?」
「患者のデータをもう一度見返したら、初等部……とりわけ初等部二年の患者数が一番多い。唯一二年だけが全員寄生されているんだ」
二年、嘉明くんの学年だ。
つまり応声虫の巣は、学生寮の初等部二年生の階にある可能性が高いということだ。
「ただ、いきなり本丸を叩けば、巣にいる応声虫が一斉に方々に逃げ出して寮内は地獄絵図になる。だから全員が寮内の別の位置からスタートして切火清祓を奏上しながら階を移動、じわじわ追い込んでいく。それで最終的には初等部二年の階で集合して、全員で一気に叩く。いいな?」
応!と気合いの入った返事が部屋に響いた。



