巣、という言葉にみんながごくりと唾を飲み込んだ。
神修は初等部から専科まで含めて14学年あり、生徒数はだいたい130人ほど。今応声虫に寄生されている生徒はそのうちの六割ほど、80人くらいだ。
という事は応声虫は少なくともそれだけこの学校にいて、それが入るだけの大きさの巣があるということ。
図鑑で見た応声虫の大きさは、蚯蚓くらいの大きさだった。
想像するだけで背筋がぞっとして鳥肌が立つ。
「そ、それ早く先生たちに知らせた方がいいんじゃ!」
慶賀くんが青い顔で身を乗り出すも、亀世さんと鶴吉さんはひとつ頷く。
「そうだな。まあ私達が伝えなくても、あと一時間もすれば神職さまの誰かが気が付くだろう」
「なんだよ、なら別にいいじゃねぇか」
泰紀くんのその言葉に、亀世さんは目を細めて笑った。
そして同じ表情の鶴吉さんと視線を合わせると、これまでに見たこともないほどの悪い顔をして「ひひひっ」と声を上げる。
「悔しくないか? 折角私たちで正体を突き止めたってのに、早々と退場させられて」
「俺達は手柄を横取りされたんだぞ、お前ら。そんなん夜も眠れねぇだろ」
「まさか……」
「そのまさかだ。この期に及んで"疲れたからパス"なんて言う奴はいないよな?」
皆の目が一層輝く。
「────ヤるぞ、私達で!」