「おい恵衣、お前グリンピース食えないのかよ!」
「え、マジ!? お子ちゃまだなぁ〜」
午前中は文殿で調べ物をして、お昼時は庭園の反橋の下でお弁当を広げるのがここ最近の私たちの過ごし方だった。
外で食べれるようにと、こっそり食堂のおばさんたちにお願いしてお昼はお弁当箱に詰めてもらっている。
今日のお昼はグリンピースご飯につくねハンバーグだ。
【うるさい!】とスマホのメモに高速で文字を打つと、ワイワイと騒ぎたてる慶賀くんの顔にそれをめり込ませる。
「おい騒ぐなバカたれ」
「最近は恵衣もこいつらと同じテンションで騒ぐからな」
鶴吉さんのその一言に恵衣くんは目を剥いた。
「俺らと同じだって、喜べよ恵衣!」
肩を組んできた慶賀くんの腕を捻りあげると、寮へ向かって歩いていった。
いってぇ、と涙目で肩をさする慶賀くんの頭を聖仁さんはぽんと叩いた。
「いい意味で、恵衣も変わってきてると思うんだけど、やっぱりどこかまだ頑ななんだよね」
遠ざかっていく背中を見つめて、聖仁さんはそう呟く。
確かにここ最近一緒に過ごす時間が増えたけれど、恵衣くんはずっと迷惑そうな顔だったし、私たちと必要以上に関わろうとしない。