「無理しすぎですっ、これで何回目なんですか……!」

「あはは、82だか3だか。でもあと少しだから」


そう言って立ち上がろうとする聖仁さん。

笑いながらも目は必死で、そんな顔を見せられて止めれるわけがなかった。

きゅっと唇をかみ締めて、背筋を伸ばして立つその背中を見つめる。



「……私にその祝詞教えてください」

「え?」


聖仁さんが目を瞬かせながら振り返った。



「私も一緒に奏上します。二人で分けたら、あと十回ずつくらいで終わりますよね……?」

「いや、でも」

「私も、大切な友達を助けたい気持ちは一緒です」



聖仁さんの瞳が光った。零れそうになった光をこらえるように上を向いて、鼻を啜った。



「俺、先輩なのに情けないね。巫寿ちゃんに助けられてばかりだ」

「私の方が、聖仁さんにいっぱい助けて貰ってますよ……?」

「あはは、なら、お互いさまって事だね」


聖仁さんは両手で顔を覆ってひとつ大きく息を吐くと、そのまま自分の両頬を叩いた。



「おいで。詞が長いから、地面に書くよ」



手招きした聖仁さんに大きく頷き歩み寄った。