薫先生は懐から和柄の巾着を取り出すと、その中から金平糖を手のひらに出して口へ放り込む。

はい、と来光くんが手を挙げて口を開いた。


「薫先生と嬉々先生って、どういう関係なんですか?」

「ただの学生時代のクラスメイトだって前に言ったでしょ」

「ただのクラスメイトを、すごく必死に庇うんだな?」


亀世さんのその一言に、薫先生は笑顔を張りつけたまま固まった。そのまま数十秒固まって、そして「もー……」と首の後ろに手を当てて天井を見上げる。

そして言葉に迷うように、ぽつりぽつりと呟いた。



「君らと一緒だよ。慶賀と泰紀、聖仁と瑞祥みたいな」



薫先生は長く息を吐いて俯きがちに答えた。





「────親友の一人だったんだ。……だからまあ、その名残で嬉々のことは分かる。嬉々は犯人じゃない」




どこか懐かしそうで、とても寂しそうで。何かを悔いるように、誰かに怒るように。

薫先生はそんな声で『親友』という言葉を口にした。