「きゃっ!」
「……ッ」
掴まれていた首元が荒々しく離され、体はバランスを保てず放り出された。自分の悲鳴と同時に、自分の肩が誰によって受け止められる。
「びっ────くりした! え、何?」
頭上からそんな声が聞こえてきつく閉じていた目をそっと開けると、驚いた表情の薫先生が私を見下ろしていた。
「薫先生……!」
「恵衣も巫寿も、嬉々までお揃いで。あははっ、珍しいメンツじゃん。一体何事?」
はっと当たりを見回せば、そこは薫先生の研究室だった。
私、嬉々先生の研究室にいて、それで突然首根っこを掴まれて部屋から引きずり出されて……。
それで薫先生の研究室まで連れて来られたんだ。
「ふざけるのも大概にしろお前は生徒に一体どういう教育をしているんだ」
淡々と、だけれど反駁する隙間も与えない口調で嬉々先生は薫先生を睨んだ。
「……ねぇ嬉々が激おこプンプン丸なんだけど、君ら何したの?」
薫先生は口元に手を当てて私たちに問いかける。全くひそめれていないその声はもちろん嬉々先生にも届いたようで、部屋の温度が二三度は下がった気がした。