もう一度ノートに齧り付いた。上から一字一句見逃さないように見返す。
けれどやはり最後は「不明」の文字で締めくくられているだけだった。
なんで、どうして。そうだもう一度、もう一度最初から見れば────!
ぐっと眉根を寄せたその瞬間、背後でガタンッと激しい音がして思わず「きゃっ」と悲鳴をあげた。
振り返るために体を捻ろうと少し腰を浮かしたその時、制服の首元を後ろから上に強く引っ張られる感覚がして引きずられるようにして立ち上がる。
首が締め付けられて息がつまり思わず涙が滲む。
隣から呻き声が聞こえて何とか目だけ動かして見れば、恵衣くんの制服の首元を掴む細くて白い腕があった。
「嬉々、先生……ッ」
不揃いの長い前髪から、鋭い瞳が私を睨んだ。