「その玉、この灯篭の火袋の中に入ってたやつみたいだぞ! 他のにはあるのに、これだけない!」

「なるほど、そういうことか!」


何かがわかったらしい嘉正くんは少年の肩に手を置いた。


「君たち兄弟はその石が欲しくて、あの灯篭を倒したんだね? その後お兄ちゃんがああなった?」


項垂れるように少年は頷いた。


「嘉正、どういう事だ!?」

「この石灯籠の持ち主の烏天狗の"祟り"だ。灯篭を倒して中の石を持っていこうとしたことを酷く怒ってるんだよ」


なるほど、そういうことなんだ……!

この石灯籠はこの社の為に寄進した烏天狗への感謝と誇り。

それをぞんざいに扱われたのならば怒るに決まっている。

やはりあの石から感じたのは烏天狗の怒りだったんだ。


「祟りだなんて、俺祓い方知らねぇぞ!」

「やったことは無いけど、基本的にはお祓いと同じだって聞いたことがある。みんな手伝って!」

「わ、分かった!」


みんなは顔を見合わせるとひとつ強く頷いた。

でも、なんだろう。お祓いをするだけじゃだめな気がする。

あの石に触れた時、激しい怒りの想念とともに悲しい気持ちを感じ取った。


きっと祟りを祓って解決するだけじゃ足りない。きっとすべき事は────。



男の子が目尻を擦りながら不安げに私を見上げた。

膝を折って目線を合わせる。