亀世さんってそんなに運動音痴だったんだ。
「鶴亀パイセンって顔も性格も言霊の力もそれなりに似てるのに、頭脳と身体能力だけ綺麗に別れたよね〜」
「おい慶賀、つまりそれは俺が馬鹿って言いたいのか? アアン?」
鶴吉さんにヘッドロックを決められた慶賀くんがギャッと楽しそうに悲鳴を上げる。
馬鹿やってないでさっさと歩く、と聖仁さんが二人の頭を叩いた。
「母ちゃんの腹の中で呪と言祝ぎで割れなかった分、身体能力と頭脳で割れたんだよ。俺は悪くねぇやい」
不貞腐れた顔をした鶴吉さん。
ケラケラと笑うみんなに、私は「うん?」と首を傾げた。
「呪と言祝ぎで割れなかった……?」
いまいち意味が分からない言葉にそう繰り返す。
「……っと、そうか。巫寿ちゃんって高校からこっちだもんな。知らねぇか」
「どういうことですか?」
「俺らがちょっと特別な双子って事だよ」
ヒヒ、と亀世さんと全く同じ悪い顔で笑って片目を閉じる。
いっそう困惑して首を傾げた。
「言霊の力は言祝ぎと呪のふたつの要素から成り立ってるだろ? で、その力は生まれた瞬間から、なんなら母ちゃんの腹の中から俺たちの中に宿るんだけど……双子の場合、99パーセント"割れる"」
「割れる?」
「言霊の力のふたつの要素が割れる。つまり一人は言祝ぎの要素だけを有した言霊の力、一人は呪の要素だけを有した言霊の力を持って生まれちまうって事だ」