いいか、よく聞け。水曜日の昼休みに教員は週一の定例会議があるんだ。なんで昼かって? 泊まりがけの任務に出てる教員は朝から出勤できない可能性があるから昼なんだよ。ていうか今はそんな事はどうでも良くて。で、その定例会議が丁度10分前に始まったんだよ。昼休みは40分、会議が終わるまで残り30分。だったら、仕掛けるなら今だろ。

調薬室でそう言った亀世さんは「潰せる疑惑は早いうちに潰すべきだろ?」と悪い顔で笑い、私たちを嬉々先生の研究室へ向かわせた。

熱がないならお前も行け、とおしりを蹴飛ばされた恵衣くんも鬼の形相でついてきている。



「亀世さんは行かないんですね」



私は残る、と手をヒラヒラさせて私たちを見送った亀世さんを思い出しながら調薬室を振り返る。

今から行くか、と言い出したのは亀世さんだったから、てっきり皆で忍び込むつもりなのだと思っていた。


「あー、あいつは昔から立案担当。実行が俺なんだよね。亀世のやつ頭は回るけどかなりの運動音痴だからさ」

「亀世って昔から運動のセンスは壊滅的だよね。本人もそれ自覚して、最近は実行側には来なくなったし」


聖仁さんが何かを思い出して小さく笑う。


「そそ。この前も珍しくついてきたかと思ったら案の定逃げ遅れて陶護センセーに捕まって、罰則喰らったわけだし」



鶴吉さんが頭の後ろで腕を組んでため息を吐いた。