「やっぱり高等部も学年閉鎖なのか」

「うちのクラスからも二人も病人出ちゃったしね。ほら、恵衣はさっさと帰って療養しなさい!」


どさ、と両手にプリントと冊子の束を乗せられた恵衣くんはまたひとつ頷くと教室へ向かって歩き出す。


「おい巫寿、もしかして二人目の病人は恵衣なのか!?」


成り行きを見守っていた亀世さんが目を見開いて私にそう詰寄る。

何事かと思いながらも「そうです」と頷けば、亀世さんは持っていたプリントをその場に放り投げた。

散らばったプリントに皆が「うわっ」と声を上げるなか、亀世さんは恵衣くんに駆け寄るとその肩を掴んだ。


「おい恵衣、お前なんてタイミングがいい男なんだ」


恵衣くんが眉間に皺を寄せながら振り返る。



「私にお前を解剖させろ」



数秒の沈黙の後「ハァ!?」という声が廊下に響いた。