私たちが思っていたよりも早くに、恵衣くんは医務室から出てきた。

二限目の授業の終わりを知らせる鐘がなり、小休止に差し掛かって直ぐだった。


中に向かって一礼しながら出た恵衣くん。

私たちはてっきりそのまま入院になると思っていたので、恵衣くんが出てきたことに驚く。


「恵衣!」


バタバタと走りよると恵衣くんは眉根を寄せて私たちを見た。


「お前大丈夫なのかよ!?」

「入院じゃなかったのか?」


わっと詰め寄る慶賀くん達を煩わしそうに一瞥した恵衣くんは、ポケットからスマホを取り出すと素早く画面を叩いて私たちにそれを差し出した。



『うるさい。自室待機って言われたんだよ』


自室待機……。

確か他の学年の子も、症状が軽い生徒はただの流行り風邪の可能性もあるから自室で療養しているって聞いた。

恵衣くんは症状が軽い方だったんだ。


とりあえず、良かったと言ってもいいんだろうか。