その場に立ちすくんだ私たちの中で、いち早く動きだしたのはやはり嘉正くんだった。

弾けるように飛び出すと一目散に座り込む少年の元へ駆け寄り、小脇に抱き抱えるとその場から離れた。


私達も思い出したように動き出し、嘉正くんとその少年に駆け寄った。



「何があったの!」



嘉正くんが少年の肩を揺らす。男の子はわあっと泣き続けるだけで答えない。


なにかヒントになるものは無いかと必死に当たりを見回した。

四肢を広げて宙に浮かぶ少年、色褪せた裏の鳥居、生い茂る草木、石の灯篭があるだけで変わった様子は無い。



「あの男の子、残穢か何かでああなったのかな……っ!」

「残穢の感じはないから、ほかのものだと思う。でもそれが何か分からないと打つ手がないんだ」



来光くんは悔しそうに顔を顰めた。

一体どうすれば────。


ふと、泣きじゃくる男の子の手に丸い何かが握られているのが見えた。



「ごめんね、ちょっと見せて……!」



男の子の手からそれを受け取る。丸い石だった。

その瞬間、身を焦がすような激しい熱がその石から伝わってきて思わず悲鳴をあげた。