「……あれ? 電気ついてる」


庭園から続く階段を登って寮に戻ってくると、消灯時間はとっくに過ぎているはずなのにどの部屋も灯りが着いていた。

基本的に消灯時間を過ぎても部屋の中にいれば寮監に怒られることは無いけれど、夜中の一時に近い時間に殆どの部屋の明かりがついているのは妙だ。

観月祭の日は毎年こうなのかな?


そんなことを思いながら下足場に入ると、広間の方からザワザワと話し声が聞こえた。



部屋の外に出てる生徒がいる……?

いつもなら寮監が直ぐに駆けつけるのに、どうしてだろう。





不思議に思いながら広間へ向かう。

途中で何人かの生徒とすれ違った。皆血相を変えてなにか話し込んでいる。



広間の入口に慶賀くんたちを見つけた。



「みんな、こんな時間にどうしたの?」

「巫寿! やっと帰ってきた!」



私の姿を見つけるなり、三人はドタバタと走って詰め寄った。

その勢いに思わず身を引いて目を瞬かせる。



「観月祭終わったんだよな!?」

「う、うん……ちょっと前に」

「てことは、平癒祈祷はちゃんとやったんだよな!?」

「平癒祈祷……? もちろんだよ、開式の儀の後で瑞雲宮司が祝詞奏上してたよ」