言祝ぎの子 弐 ー国立神役修詞高等学校ー



こんなに大きな月が出てたんだ……。


見つめれば見つめるほどそこに浮かんでいるのが不思議に思えて、その妖しさに取り込まれそうになる。心が奪われる。


「……巫寿ちゃん!」


名前を呼ばれてハッと我に返った。

聖仁さんのソロパートが終わって二人で踊る箇所の曲が流れていた。


慌てて差し出された手を取った。

聖仁さんは目を細めて笑った。



「見れた?」



その問いかけにこくりと頷く。

こんなに綺麗な月が出ていたのに、今まで気が付かなかったなんて。

ちゃんと見上げてよかった。



「いい顔。その調子」



そう言った聖仁さんに釣られて、私も笑みを浮かべた。