「────昨日の最終打ち合わせで確認した通り、まず反橋に上がる前に橋の下で手を洗うからね」
私たちの前に演舞するまねきの社の巫女さまたちの舞が終盤に差し掛かり、反橋の側まで来た私たち。
聖仁さんの言葉に、緊張気味にひとつ頷いた。
私の強ばった顔を覗き込み、聖仁さんはくすりと笑うと少し強めにぽんと背中を叩いた。
「大丈夫だよ。あれだけ練習したんだし、きっと上手くいくよ」
「本当ですか……?」
「ほんとほんと。俺と瑞祥の初舞台なんて、緊張しすぎて裾を踏んで二人して舞台から転げ落ちたし」
「えっ……」
今となってはそれもいい思い出だけどね、と肩をすくめる。
今となってはどんな舞も完璧にこなす二人が、舞台の上ですっ転んで、転がり落ちる姿を思い浮かべる。
思わずふふ、と吹き出した。
聖仁さんは反橋を見上げた。
「そろそろだね。準備はいい?」
ふう、と息を吐いて大きく頷いた。



