「巫寿ちゃん? どうしたの?」
「あの……足が」
「足?」
「痛くないんです」
自分で言いながら信じられなくて、その場で足踏みをする。
度重なる練習でずるむけになった足の裏は、いつも歩く度にヒリヒリとした痛みが走った。
痛みもなく違和感もない、元の足に戻ったみたいだ。
「痛くないんです。ずっとヒリヒリしてたのに」
「おそらく……祝詞の効果だね」
そうか、治病祈祷祝詞の効果……!
座り直して足袋を脱ぐ。いつもより頑丈に巻いたテーピングを剥がすと、やはり肌は元通りになっていた。
凄い、と小さく零す。
病を治すだけじゃなかったんだ。
「これで、瑞祥も────」
一瞬泣きそうな顔をした聖仁さんは天を仰いでそう呟いた。



