普段は意識的に呪と言祝ぎのバランスを調整することが必須だけれど、言祝ぎが高まっている今なら意識しないで全力を出しても問題ないということになるんだとか。
ということは、それだけ祝詞の効果も高まるということだ。
上手く行けば嘉正くんも瑞祥さんも嘉明くんも、他の生徒のみんなも原因不明の病を治すことが出来るかもしれない。
やっと意味が理解できて、じわじわと喜びが込み上げてくる。
私も聖仁さんと同じように、聞いた瞬間に喜びたかったな。
少しそんなふうに思ったけれど嬉しいことには変わりない。
本当に良かった、と噛み締めるように呟けば皆は満面の笑みで頷いた。
「関係者は庭園にお集まり下さい! もう間もなく開式です!」
廊下の奥からまねきの社の本景福巫女頭が叫ぶ声がした。
皆はその声にドキリとしたのか身を縮めて口元を抑える。
「じゃあ、僕たちそろそろ戻るね」
「二人とも月兎の舞頑張れよ! 絶対上手く行くから!」
「寮の屋上から観てるから! ゴマ粒サイズだと思うけど〜」
廊下の様子を伺った三人は身をかがめるとあっという間に控え室から出ていった。



