まだ出会って数ヶ月程度しか経っていないけれど、二人の信頼関係がどれほどのものかは知っている。

だから聞かずとも分かる、瑞祥さんの事が心配で仕方ないんだ。


「何かしてないと気が済まない奴がいたからな。付き合ってるのはどちらかと言うと私の方だ」


ほい完成、と私の足を床に下ろした。

熱を持っていた足の裏が新たに塗ってもらった軟膏のおかげでひんやりと心地よい。


靴下を履きながら、断りを入れてノートを見せてもらった。

患者の症状、長期の発熱・失声・倦怠感。病状の分布、八月の初旬から初等部二年男児が罹患。その後初等部内にて────


「あの……亀世さん」

「なんだ?」

「これ、ちょっと詳しすぎじゃないですか?」


事細かに調べ尽くされたそのノートの内容に眉根を寄せる。

病状だけならまだしも、1日目午前中の体温、午後の体温、2日目午前中の体温、午後の体温……流石にそれは詳しすぎる。


「当たり前だろ。気を失ってる患者以外の全員から聞いたからな」

「でも医務室は立ち入り禁止何じゃ……」

「おいおい巫寿、それ以上は愚問だぞ? 俺たちがわざわざこんな時間までここに残ってる理由なんて一つだろ」


亀世さんと鶴吉さんは顔を見合せて「ハハハッ」と笑い出す。

なるほど、忍び込んだ末先生に見つかって罰則を命じられてここにいるんだ……。