「1年生の間でも、ただの病気ではないんじゃって話してて……病気じゃないなら呪いや祟りの類いかもって」

「まあそうだろうな。この医療が発達した現代で、薬がどの症状にも全く効かないというのは妙だ。つまり医学では太刀打ち出来ない相手、ということになる」


やっぱりそうだったんだ。私たちの考えは間違いではなかった。

きっと私たちが気付いているということは、先生たちやまねきの社の神職さま、本庁の役員たちも気がついているはずだ。


それなのに何故誰も何も動かないんだろう、と眉根を寄せて直ぐに気が付く。

夏休みに恵里ちゃんの家でお祓いをした時のことを思い出す。そうだ、憑き物は相手が何なのかが分からないと祓うことは出来ないんだ。


「まぁ神職が総出で調べても何も分からないんだ。私らみたいな若造がちょっとやそっと探した所で見つかるはずはないんだけど────」


亀世さんはテーピングを巻きながら、ちらりと聖仁さんに視線を向ける。

険しい顔のまま無言で書物の頁を捲る聖仁さんに唇をすぼめた。