来光くんの名前が上がったから、鶴吉さんは究極祝詞研究会なんだろう。クラスメイトだけでなく部活動の先輩からもなかなか酷い扱いを受けている 来光くんの苦労は計り知れない。
それにしても流石双子と言うべきか、鶴吉さんまでも似たような思考回路をしている。
「あ、あの、わざわざ起こさなくていいですから……!」
「なんだよつまらんな」
「大丈夫だって、怒られんの俺らだから」
そういう問題じゃない、と心の中で激しく突っ込む。
どっちが先に起こすか聖仁さんの頭の上でジャンケンを始めたところで、聖仁さんが小さく唸り声を上げながら起き上がった。
「クソ、遅かったか」
「聖仁、もう少し寝てていいぞ」
「俺寝てた……? 今何時?」
ふわぁ、と手の甲で口元を隠して欠伸をして、首をめぐらせる。
私と目が合って不思議そうな顔をした聖仁さんは「あっ」と声を上げて弾けるように立ち上がった。
「ごめん巫寿ちゃん! やばい今何時!?」
その時、遠くで最終下校時刻を知らせる19時の鐘が鳴り響いた。