【文殿で寝てるけど、ほっといていいのか?】


その日の放課後、富宇先生ときっちり二時間の稽古をした後何となくスマホを見てみると聖仁さんからそんなメッセージが届いていた。

確かにいつも富宇先生の稽古の時から付き合ってくれるから、時間になっても現れなかった聖仁さんが少し気になっていたところだった。


それに加えてこの変なメッセージだ。

ほっといていいのか、ということは迎えにこいって事かな……?


そうだとしてもこの文章の書き方は聖仁さんっぽくなくて妙に気になる。

首を傾げながらも、文殿に向かった。


一学期が終わってからは何となく足が遠のいて文殿の扉を開ける。


入口のすぐ右手には机に向かう神職さまがいて、思わずハッと息を飲んだ。


「こんにちは」


顔を上げた挨拶したその人は、私の知らない年配の神職さまで無意識に止めていた息を吐き出す。


「こんにちは……」

「名前書いてから入ってね」

「は、はい」


バインダーに挟まれた紙に名前をすらすらと記入し、一つ頭を下げて狭い通路に向かった。