みんなのやり取りにくすくすと笑いながら、貰った善意をありがたく使わせてもらう。
「お、あった。これも貼っとけ。最初は気持ち悪いけど、結構緩衝材になるんだぜ」
そう言って泰紀くんは解熱シートを差し出す。
言われた通りに軟膏を塗ってテーピングを巻き、その上から解熱シートを貼ってみる。
恐る恐る足を着くと、あれほど悩んでいた床に着いた時の痛みが少しも感じなかった。
「これすごいね。全然痛くないや」
「だろ? でもこれ応急処置だから、ちゃんと消毒してガーゼ当てとけよ」
「あれおかしいな。僕、泰紀が頼りになる男に見えるんだけど……」
「眼科行けよ〜」
「よしお前ら一旦廊下に出ろやぁ」
二人にプロレス技を決めた泰紀くん。ぎゃあぎゃあと騒いでいると五限目の先生が教室へ入ってきて、「うるさい!」と叱られる。
静かな学校内で唯一この教室はずっと賑やかで明るい。今の私にとっても、それが救いだったりする。
正直、毎日観月祭の事で頭がいっぱいだった。