月兎の舞の練習は連日朝から晩まで時間があれば行われていた。

富宇先生に見てもらえるのは放課後の2時間と神楽の授業の時だけなのだけれど、聖仁さんは言葉通り付きっきりで私の練習に付き合ってくれてた。

練習が始まって三日目で、何だか足が痛いなと思って練習終わりに見てみたら足袋が真っ赤に染まっていた。

連日の度重なる練習で、今まではそこまで酷使していなかった足の裏の皮はずるむけになってしまった。

初日は歩くのですら辛い程だったけれど、ここ最近はその痛みにも慣れてきた。

練習中は集中しているから気にならないけれど、やっぱり練習終わりになるとジクジクと痛んだ。


ふぅふぅと息をふきかけながら「これ以上酷くならないでね」と祈る。


「軟膏いる? あ、ちゃんと豊楽先生と作ったから塗っても爆発はしないぜ」


机の奥からゴソゴソと小瓶を取り出した慶賀くんも、「ほら」と私に投げて渡した。

あけるとヨモギのいい匂いがして、胸がスっとする。


「慶賀、もしかして塗ったら爆発する漢方薬作ったことあるの?」

「あるある、偶然の産物だけどな〜。もう一回作りたいんだけど、混ぜる段階で爆発しちまうんだよ」

「お前が未だに罰則止まりなのが不思議で仕方ないよ」