九月の一週目が終わって、8月のうだるような暑さはだいぶ和らいだ。
依然、学校内で病気にかかる生徒は増えているし、初等部は学校閉鎖が継続されている。中等部の一年も先週から学年閉鎖になった。
少し前までは嘉正くんからトークアプリでメッセージがぽつぽつと帰ってきていたけれど、【ごめん、体調悪い。返事遅くなるかも】というメッセージが3日前に送られてきてからぱったり途絶えている。
蝉の声も聞こえなくなり、鎮守の森も少しずつ色褪せ始めている。静かな学舎内はより一層もの寂しい感じがした。
「うわっ! 巫寿ちゃんそれ大丈夫!?」
昼休みが終わる5分前に教室へ帰ってきて、顔を顰めながら足の裏の絆創膏を直していると、外から帰ってきた来光くんたちが目を剥いて駆け寄ってきた。
皮が剥けて赤くなった足の裏はここ数日の練習の成果でもあるけれど、他の人から見ればやはりそれほど痛々しいらしい。
「うわっ、見事にずるむけだな。俺のテーピング貸してやるよ。槍術部の練習も、結構足の裏やられるからさ」
「いいの? ありがとう」
カバンの中からベージュのテーピングを取り出すと「ほい」と私に投げて渡す。
絆創膏ではそろそろ限界かなと思っていたところだったのでありがたい。
お礼を言いながら受け取った。