「合唱って俺初めて!」
「みんなで一斉に歌うのか? なんか面白そうだな」
ああ、そうか。
神修は音楽の授業の代わりに雅楽器の授業がある。来光くんと私以外は一般的な小学校中学校を通っていないから、音楽の授業もなければ合唱の経験もないんだ。
「合唱かぁ、懐かしいな。結構面白いよ。高いパートと低いパートで分けて歌ったり、ソロパートとか作ったら盛り上がるし」
「じゃあソロパートは恵衣だな!」
突然自分の名前が上がって、窓の外を眺めていた恵衣くんが迷惑そうに目を細めて振り向いた。
「恵衣歌上手いもんな! 合唱で決まりじゃん!」
「……俺がいつやると言った」
「減るもんじゃないし、いいじゃん!」
顔を顰めた恵衣くんは机に頬杖を着いてまた窓の外に顔を向けた。
決まりだね、と薫先生は指を鳴らした。
「呪を扱うなら選曲は要注意だね。使う曲決まったら俺に教えて〜。当日音楽は機材から流す?」
「あ、なら僕ピアノやりたい」
そう言って手を挙げた来光くんに皆は目を見開く。