うーん、と首を捻ったまま、何一つ案が出ずに話が固まる。

皆がちょっと面倒臭そうな雰囲気を出し始めて、「どうしよう」と机の木目に視線を落とす。

出し物、出し物……。そこまで難しくなくて、神修で習ったことで、エンターテインメント性があるもの……。

何気なく視線をさ迷わせた時に、恵衣くんの横顔がちらりと見えた。


あ、と顔を上げた瞬間、薫先生が私を見下ろす。


「ん? 何かある? 巫寿」

「あ、はい……。合唱とか、どうですか?」

「合唱?」

「はい。二学期から始まった声学の授業で、よく歌を歌っているので……言祝ぎと呪の調整を意識した歌の発表……とか」


みんなの反応を伺いつつ、恐る恐るそう提案してみる。

合唱なら練習にそこまで時間を取られることもないだろうし、そこまで難しくない。神修で習ったことの発表、というテーマも守っているし、薫先生のいうエンターテインメント性もあるはずだ。


どうかな、と聞き返すまでもなく「良いじゃん!」という反応が帰ってきた。