「奉納祭のクラス発表の演目を決めるよーん」
朝のホームルーム、教卓の上に座って胡座をかいた薫先生が、「いえーい!」と一人で拍手をした。
朝からテンションたっか、と慶賀くんが欠伸をこぼしながら呟く。
慶賀くんも広間ではそんな感じだったんだよ、と心の中で小さく突っ込んだ。
「例年通り、授業で習ったことをクラス毎に自由に発表していいからね! 今年はどうする? 去年の神職あるあるコントかなりウケたし、もう一回やっとく?」
「やんねーよ! あれのせいでしこたま怒られたのに!」
「そうだよ! 薫先生の提案だったのに、僕らがめちゃくちゃ怒られたんだから!」
「でも生徒投票で一位だったじゃん! あははっ」
去年のみんな、何やってたの……。
「あ、動画見る?」とタブレットを素早く叩いた薫先生は画面を掲げた。
神楽殿が映し出されて、画面左端から今より少しあどけないみんなが拍手しながら現れる。
『どうもー! 明階一級の志々尾慶賀です!』
『なんでやねーん! 昇階位受けられるのは15歳からやっちゅーの!』
『実は俺、死んでるから72歳なんや!』
『なんでやねーん!鎮魂の祝詞を奏上して、修祓したろかー!』
『でも無害やから浮遊霊かー!』