【初等部が学校閉鎖になったから、今日からみんなマスク着用必須ね】

朝起きて眠気まなこでトークアプリを確認すると、薫先生からそんなメッセージが届いていた。


チーム出仕のトークグループでは「誰かマスク持ってるー?」「俺もほしい」「持ってなーい」「医務室で貰えるかな」とみんなが忙しなく話していた。


幸い私は花粉症対策で春頃はよく身につけていたので余っている。

広間でみんなに渡すね、と返事を打って、布団から抜け出した。



朝ごはんのおぜんを受け取ってみんなの姿を探しながら広間をうろうろしていると「巫寿ちゃんおはよ」と来光くんに声をかけられた。


「おはよう。あれ一人?」

「慶賀は忘れ物。泰紀はトイレ籠ってるから、置いて来ちゃった。先食べてよう」


空いてるスペースにお禅を置いて手を合わせた。

今朝は焼き鮭だ。


「薫先生からのメッセージ、初等部が学校閉鎖ってびっくりだね」

「そうだね。でも学校閉鎖になったら、どうなるの?」

「全員家に帰ることになるんだよ、1週間くらいね。でもさっき先輩から聞いた話だと、家には帰さないんだって」


帰さない?と繰り返す。


「流行ってるものの正体が分からないから、本庁から帰宅させるなってお達しがあったんだって。だから寮で隔離。ご飯も広間で食べちゃダメだから、一人一人部屋に運んで、お風呂も時間制にするんだってさ」