注連縄のかかった赤い鳥居に、社頭へ続く石階段。階段の一つひとつには石灯籠が立っていて、中でロウソクが燃えている。

まねきの社の入口とどことなく似ている雰囲気だ。

狐面や天狗面を付けた浴衣姿の子供たちが風車を片手に階段を駆け下りていった。


「賑わってるね。こっち側の社なのに珍しい」


嘉正くんは興味深そうに首をめぐらせた。


「……こっち側の社って、あんまり人が来ないの?」


恵理ちゃんが前を歩いているので、潜めた声で尋ねる。


「そうだね。鬼門のある所に社を立てるから、ひと気のないところや森や山の中が多くて、人の参拝客は少ないんだよ」


そういえば、まねきの社もとても立派な神社なのに社頭で人を見掛けることは滅多にない。

平日はひとりやふたり見かければ多い方だし、休日でも客足はまばらだった。


以前ゴールデンウィークでゆいもりの社へ訪れた時には、昼は人の参拝客で賑わい、夜はあやかし達が出店を開いて活気で溢れていた。

そういう社って珍しいんだ。