は、と顔を上げた玉珠ちゃん。
不安げに顔色をうかがう盛福ちゃんを見て、ごしごしと目尻を拭って笑った。
「おめでとう。でも……次は負けないよ」
「……っ、おう! どっからでもかかってこい!」
「来年は盛福が高等部に上がるから、再来年だけどね」
聖仁さん……。
案の定二人から、一言余計です!と怒られる姿にぷっと吹き出した。
高等部の代表は案の定、聖仁さんと瑞祥さんだった。
周りの反応も"だろうな"というものばかりで、後頭部の先輩たちは初めから自分が選ばれることは期待していなかったらしい。
全ての代表生徒が発表されて、ようやく落ち着いたみんなはまた富宇先生を見上げた。
「はい、じゃあ一喜一憂したところで神楽部の演目を発表したいと思います。事前アンケートの結果、今年は……八岐大蛇伝説です」
おお、とどよめきが上がった次の瞬間「俺素戔嗚尊がいい!」「私櫛名田比売やります!」と配役の争奪戦が始まる。
気持ちを切り替えたのか少し落ち込んでいた玉珠ちゃんも、負けじと「私やりたいです……!」と手を挙げている。もちろん盛福ちゃんも「ハイハイハイ私やるーっ!」と叫んでいた。