練習が始まってから、少し遅れて顧問の富宇(ふう)先生が入ってきた。


「皆さん、ちょっといいかしら〜」



すぐに聖仁さんが集合、と声をかけて先生の周りに集まった。


「そろそろ二学期末の奉納祭について決めなくちゃいけないと思って、少しだけ時間頂戴ね」


奉納祭、と心の中で繰り返す。

一学期と二学期の末に行われる神修のイベントで、その学期に習ったことを御祭神である須賀真八司尊(すがざねやつかのみこと)の前で披露する行事だ。

一学期は形代や祝詞奉納の奉納が多く体育祭っぽいもので、二学期は舞や演武がメインの文化祭っぽい内容らしい。

二学期は各クラス発表するものと、部活動事の出し物がある。



隣に座っていた玉珠ちゃんにこそっと話しかける。


「神楽部は毎年何してるの?」

「神話舞です……! 開門祭とは違って、私たちが好きに題材を決めていいんです。あとは、女子は浦安の舞で、男子は倭舞(やまとまい)も奉納します……!」


めちゃめちゃ楽しいよ〜、と盛福ちゃんが横から口を挟む。

去年が天岩戸伝説で、一昨年は因幡の白兎を題材にしたらしい。


なんだか文化祭の演劇発表みたいで楽しそう。