「────おお、いい感じ。助かったよ、ありがとう」
「観客の目の高さで撮るとこう見えてるのか! ありがとな巫寿!」
小さなスマホ画面を二人して覗き込むと、各々にそう言った。
私はただ撮影しただけで大したことはしていないのでふるふると首を振る。むしろ二人の舞を練習する姿はとても勉強になった。
少しずつ部員が増えていき「そろそろ終わろうか」と聖仁さんは手を打った。
二人はその場に座り込んで水筒のお茶を煽った。
「時に巫寿、観月祭誰かと行くのか?」
にやりと笑った瑞祥さんに、すぐにあの噂の話をしているのだと気がつく。
苦笑いで首を振った。
「また罰則をくらうのはちょっと……」
そもそもそんな相手はいないし、とも心の中で付け足す。
「あはは、確か一学期に三ヶ月も文殿掃除させられてたよね」
「そうだったな! さては嬉々先生に見つかったろ?」
「そうです。土曜日の夜に門限を破って遊びに出たところを見つかって」
はあ、と息を吐くと二人は楽しそうに笑った。
「それはついてなかったね。嬉々先生って取り分け罰則に厳しいから」
「そうだな〜。門限破りはよくやってる奴いるけど、普通は一週間の居残り程度だし」