親身になって話を聞いてくれたし、私の本当の気持ちを引き出そうと言葉をかけてくれた。
泰紀くんはガサツに見えて、他人の細かい所までよく見ている人だ。
誰も気がつけない小さなことに気が付ける泰紀くんだからこそ、女の子たちは好きになっちゃうんだろう。
「なるほどね〜……まあ、でもあいつ変に律儀だから毎年断ってるんだよね。観月祭のお誘い」
「へえ、以外だね」
「今年は特にそうだろ! 泰紀にはもう相手がいるからな!」
ししし、と笑った慶賀くんに「確かに」と首をすくめた。
メッセージの返信が早くなってきた、と喜んでいた親友のことを思い出し小さく笑った。