「構わん続けろ」


冷たい目が私たちを見下ろし白い唇は僅かに弧を描く。


「ななな何でもないですっ!!」


いち早く泰紀くんの後ろに隠れた慶賀くんは震える声でそう叫ぶ。

私達も顔を見合わせると赤べこのように何度も頷いた。


「呪いがどうしたお前たちは呪いの話をしていたのではなかったか何の呪いについて話していたんだ」


してませんしてませんしてません、と泣きそうになりながら全否定した慶賀くん。私たちはまたコクコクと何度も頷く。

冷ややかな目と目があって、唾を飲み込んだ。

まるでナイフを突きつけられているような気分だ。背筋をつうっと汗が流れる。


「今度は生きながらえれるかどうか見ものだな」


嬉々先生はそれだけ言い残すと音もなくその場を去っていった。

みんなは金縛りが解けたように「ぶはっ」と息を吐いた。


「な、な、なんだよあいついきなり現れたぞ!?」

「どう見ても嬉々って顔じゃねーよ!! 見たかよあの蛇みたいな凶悪な顔!?」

「僕もう無理立てない怖い帰りたい!!」


三人は堪えていたものを吐き出すように早口でそう叫ぶ。